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いろんな人がいて、いろんな本を読んでいる。コーヒーと夜の散歩と伊藤計劃がだいすきな25才が、 あんな本や、こんな本を、紹介します。

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倫理の教科書はまだありません 「ぼくのメジャースプーン/辻村深月」

 

ぼくらを襲った事件はテレビのニュースよりもずっとどうしようもなくひどかった――。ある日、学校で起きた陰惨な事件。ぼくの幼なじみ、ふみちゃんはショックのあまり心を閉ざし、言葉を失った。彼女のため、犯人に対してぼくだけにできることがある。チャンスは本当に一度だけ。これはぼくの闘いだ。

 

Aという条件をクリアできなければBという結果が起こる『条件ゲーム提示能力』をもつ少年は、法律がさばけなかった罪に立ち向かうことを決めます。

同じ能力をもつ先生に、能力のこと、その使い方についての講義を受けるのですが……。

救いたいだけなのに、それができない。

 

泣いた。ふみちゃんの痛みを思って泣く時よりも激しく、声を上げていつまでも。

黙っている先生に、ぼくは続けた。

「誰かが死んで、それで悲しくなって泣いても、それは結局、その人がいなくなっちゃった自分のことがかわいそうで泣いてるんだって。人間は、自分のためにしか涙が出ないんだって、そう聞きました。本当ですか」

 

わたしたちは、ひととひとを、秤にかける。

 

答のない問いに、けんめいに立ち向かった少年と、いっしょに考えてみませんか。

なにを? すべてを。

 

割り切れない感情を抱えるひとにすすめたいです。

若いときに出会えたら、きっと糧になるでしょう。

 

ぼくのメジャースプーン (講談社文庫)
 

 

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