Fisher

いろんな人がいて、いろんな本を読んでいる。コーヒーと夜の散歩と伊藤計劃がだいすきな25才が、 あんな本や、こんな本を、紹介します。

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純粋であることは罪ですか 「グレート・ギャツビー/スコット・フィッツジェラルド」

 

僕がまだ年若く、心に傷を負いやすかったころ、父親がひとつ忠告を与えてくれた。その言葉について僕は、ことあるごとに考えをめぐらせてきた。

「誰かのことを批判したくなったときには、こう考えるようにするんだよ」と父は言った。「世間のすべての人が、お前のように恵まれた条件を与えられたわけではないのだと」

 

アメリカ、東部、終戦後。

大金持ちで、毎夜にぎやかなパーティを開く、ひとあたりのいいギャツビー。嘘みたいな彼ですが、ほんとうは、何年も前の恋心をはぐくみ、守りつづけてきたピュアボーイで……。

それを知った隣人が、恋の仲介をしてあげます。だけど、社会は、ギャツビーの純粋さを受け容れられません。

 

ちゅうぶらりんな主人公が語り継ぐものがたりは、しずかで、かなしいからこそ、やさしいものになっています。

 

「あんたはどう思うかね?」と彼は熱っぽく問いただした。

「何のことですか?」

彼は書棚に向かって手を振った。

「あれのことだよ。念のために言っておくと、本物かどうかわざわざ確かめるまでもないよ。私がもう調べた。本物だ」

「本のことですか?」

彼は頷いた。

「れっきとした本物さ。ページから何から、すべてすべて揃っている。どうせそれっぽく豪華に作られた張りぼてだろうと踏んでいたんだ。ところがなんたることか、正真正銘の書物だよ。ページから何からーーほら、これを見てごらん!」

 

もしも、その純粋さが本物であったとして、わたしたちは、そのことに気がつくことができるでしょうか。信じられるのでしょうか。

 

いくつになっても、どんなに多くの新しいことを経験しても、忘れたくない。

無二の読書体験に、きっとなります。

 

グレート・ギャツビー (村上春樹翻訳ライブラリー)

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