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いろんな人がいて、いろんな本を読んでいる。コーヒーと夜の散歩と伊藤計劃がだいすきな25才が、 あんな本や、こんな本を、紹介します。

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死んでもいいなんて言っていないし言うつもりもない 「春を背負って/笹本稜平」

 

先端技術者としての仕事に挫折した長嶺亨は、山小屋を営む父の訃報に接し、脱サラをして後を継ぐことを決意する。そんな亨の小屋を訪れるのは、ホームレスのゴロさん、自殺願望のOL、妻を亡くした老クライマー……。美しい自然に囲まれたその小屋には、悩める人々を再生する不思議な力があった。

 

登山者の背負ってきた悩みが、ひとつひとつ、ほぐされていきます。

連作としても、おおきなひとつの物語としても、楽しめそうです。

 

予定通りの人生はありません。 

だから希望は、できるだけざっくりと、たとえば、「いつかきっと幸せになろう」なんてものでも、いいのかもしれませんね。

 

「気がついたのよ。気持ちが沈んでいるとき、誰かのためになにかをしてあげると、心のなかに光が射し込むの。それは人助けだとかボランティアだとかいうおおげさなことじゃないの。普段の仕事として、亨さんやゴロさんやお客さんたちと接しているだけで、気持ちが明るくなることに気づいたの。それは私にとって、生きるために必要な空気のようなものなの」

 

頼りにしている人、標を、わたしたちは失ってしまう。なんども、なんども。

 

自分の人生だけではなく、大切な人の人生も顧みて、いのちを大切にしたいとおもえる物語です。

なんでもない日々を生きましょう。

 

春を背負って

春を背負って

 

 

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