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いろんな人がいて、いろんな本を読んでいる。コーヒーと夜の散歩と伊藤計劃がだいすきな25才が、 あんな本や、こんな本を、紹介します。

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ひとはどうして働くのでしょうか 「昼田とハッコウ/山崎ナオコーラ」

 

頑張ったところで、給料は変わらないのだし、どうして熱くなる必要があるのかはわからない。社会にコミットしたいのかもしれない。

 

「アロワナ書店の七不思議のひとつ目」を話し終えた父が急死。

店長のハッコウといとこの昼田は、協力してアロワナ書店を存続させようとするのですが……。

息子だと言う少年が現れたり、仕事をしないハッコウがさらに天岩戸に引き籠ったり、サリンジャーが死んだり、前途多難です。

 

確固たる世界のことを、自分の感受性が作り出した一片のように扱う。

「そうやって、オレのことだとか、東京のことだとかを、ハッコウの観念に入れてくれないじゃないか。ハッコウの心の中には、自分と幸福寺しかないんだろ。自分の気に入らない人を入れてくれないだろ、そういうのを排他的って言うんだよ」

「ハイタ? 違う、オレが追い出されてるんだ。昼田は、もやもやしたものを、ないことにしているんじゃないの? なんで?」

「オレはもやもやしたものの存在を認めてるって、さっき言ったろ」

「オレにはオレの世界があるんだ」

「ねえよ。みんなの世界が一個あるだけだよ」

「でも、オレはみんなとは違うって感じるもん」

胡蝶の夢みたいに、どっちが本当の自分かわからなくなっちゃってんの?」

「自分のことはわかってるよ」

「なんなの?」

「昼田とオレは違うんだよ」

「信用してないんだよ。ハッコウは世界を信じてないんだよ」

 

理由なんてわからないよ。

 

登場人物は、みんな、よく語ります。素直なことばに気持ちよく耳を傾けられます。

 

ばらばらだけど繋がっている家族が、やっぱりばらばらのまま、だけどふたたび繋がる、不器用な物語です。

 

普段は読書をしないひとにもおすすめです。

アロワナのうろこくらいの祝福を、あなたにも!

 

 

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どんなに、そうしてもいい理由、してはならない理由があったとしても、無関係に愛していい。人間と人間がぶつかる、告白の物語です。

雪の鉄樹 (光文社文庫)

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