Fisher

いろんな人がいて、いろんな本を読んでいる。コーヒーと夜の散歩と伊藤計劃がだいすきな25才が、 あんな本や、こんな本を、紹介します。

MENU

夏休みに読みたい本 《3》

 

夏休みですね。

大人も子どもも、数週間、数日でも、夏休みはあるでしょうか。

あるといいですね。もしもなくても、夏はありますから、時間以外で楽しみましょう。

 

たくさんはしんどいかもしれないから、三冊、本を読んでみませんか?

 

本を読みたい人へ

卵の緒 (新潮文庫)

卵の緒 (新潮文庫)

 

 

「卵の緒」瀬尾まい子
四国・愛媛県松山市が主催する「坊ちゃん文学賞」の大賞受賞作品です。歴代の受賞作には「がんばっていきまっしょい/敷村良子」や「ゆくとし くるとし/大沼紀子」があります。青春を切り取る、生き生きとした物語が評価されるようです。

「卵の緒」も、語り手は小学生の男の子。へその緒を見せてほしいと母に頼んだところ、”卵の殻”を見せられて、ほんとうに自分は捨て子なのかもしれない、と疑います。真剣な気持と、すこし変わっているけれど、愛し合う家族のきずなが、とてもあっさりと描かれています。

答はどこかな。でもまあ、なくてもいっか。あってもいいけれど。

どんな気持も、まずは自分自身で認めてあげることですね。

あなたはあなたであるだけで、すてきなのだから。

短いお話なので、読んだら、こんどはあなたが、物語を書いてみませんか? 小説だと気負うことはありません。日記でもいいし、エッセイでもいい。ちょっとだけ、ことばをつなぎあわせて、ひとつの物語にする。体験してみませんか、夏休みの宿題だとおもって。

 

本がにがてな人へ

ドローイングはいかがですか。

NARA NOTE

NARA NOTE

 

 

「NARA NOTE」奈良美智
美術家・奈良美智の制作日記と、紙片や封筒裏に描かれたドローイング集です。

単身ドイツに暮らし、さきの見えない絵に向かう日々は、とても孤独。だけど、やめたくない! なにすればいいのか、どうやればいいのかなんて、とうてい見当もつかんけれども、それでもやるのだ! 

ぐずぐずしちゃう自分も愛してあげたいですね。

きっと、そうすることで、鋼みたいに頑丈な欲求(読みたい・描きたい)が、ぱきん、って割れてしまわないように守ってあげられるから。

 hey,hey,ハングリーはいまどこにいる?

ぱらぱらっと読んでみて。

もちろんもちろん、いいですよ。読むのはやめて、絵を描いてもさ!

 

本に飽きた人へ

飽きましたか。たいくつでしたか。本が嫌いになりましたか。それとも自分を?

なににせよ、あなたのせいじゃありません。本があなたを見つけられなかっただけです。

ぼくのキュートナ

ぼくのキュートナ

 

 

「ぼくのキュートナ」荒井良二
”はいけい、ぼくのキュートナ”から始まる15通のお手紙と、挿絵からなる一冊です。

語りかける”ぼく”のけなげさ、純情さもさることながら、一筋縄ではいかないキュートナが魅力的です。ほんらい、哲学というものの前提には、「自己と他者」があるのでしょう。出会いがわたしたちを変えていきます。

もしもあなたが、変わりたいって思っているのなら、やっぱり、出会わなくっちゃね。

いま、答をもっていないのなら、あなたの中に、答はないのです。

 

本も、あなたを見つけたいっておもってる。その一冊にとっては、あなたが答かもしれない。

だけどね、本にはちょっぴりのん気なところがあるから、あなたのことを、まだ見つけられずにいるのです。

 

仕方ないでしょう? 仕方ないのです、本ってやつは。見つけてあげない?

 

おわりに

あなたが見つけた本が、あなたをわくわくさせられたら、すてきなことです。

ちっともわくわくしないや。そんなときには、譲り渡してしまえばいい。

だれかがその一冊を待っている、その一冊もだれかを待っている。

あなたには、きっと、ほかの一冊があって、それはいま、だれがべつなひとの手にあるのかもしれませんね。いつか、回ってきたときに、「これだ!」って気づけるように、探しつづけて。

「わたしはここにいるよ!」呼びかけつづけて。

 

はいけい、夏休み。

きみは言うね、「わたしは夏なんかじゃないわ」って。じゃあ、「休みなの?」って聞くと、それもちがうんだって。じゃあなんなのって聞いたら、きみは怒って、「わたしよ!」って言って、帰っちゃったね。

お城にはぶじに帰りつきましたか? きみがわすれていった馬も、帰りついたかな? 馬のせなかに、きみに見せたかった夕焼けをのっけておいたけれど、とちゅうでおっこちなかったかしら。見てくれましたか?

そんなことには、ちっとも気づかずに、とっくに眠っているきみが、夏の夢を見ているといいなとおもうよ。そうしたら、こんど会ったときに、きみから夏の話を聞けるから。

それとも、やっぱりきみは「夏じゃない」って言うのかな。

わたしはわたしよ。だけど、こんな夢を見たわ。きらきらってしてて、とっても暑いの。わたしは暑いのって、わりと好きよ。きらきらってするもののことは、好きでも嫌いでもないわ。

 

よいもわるいもない、夏休みを!

広告を非表示にする