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いろんな人がいて、いろんな本を読んでいる。コーヒーと夜の散歩と伊藤計劃がだいすきな25才が、 あんな本や、こんな本を、紹介します。

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あなたへ 「ラストレター/木藤亜也」

 

お庭にあったげんのしょうこが、根こそぎ、引きちぎられてしまいました。じだんだ踏んで悔しいやら悲しいやらで、わめいていたところ、小さな苗をきのうみつけたのです。そのときの喜びといったら……何ていっていいかわかりません。

げんのしょうこは陰干しにして、せんじて飲むと、腹痛にきくということですから、苗が大きくなったら、さっそくそうして送りますね。

 

脊髄小脳変性症を患った16歳の少女が、親友にあてた58通の手紙が収録されています。

手紙の内容は、ほんのささいなことがら、短い一枚。そこに込められたものは、読者のこころに届けられます。

ひとがひとへ宛てたことばにあるあたたかさ、切実さ、距離、そして生々しさ。

ことばのもつ力を最大限に引き出した一文一文は、ほかでもない、わたしたちに語り掛けています。

 

私はおこるのがイヤで泣いていました。だけど私は二十歳です。少しのことでびーびー泣いていました。そんなんいくら何でも恥ずかしい。だけど我慢します。優しさはそこから生まれるからです。

 

そして、わたしからわたしへ、送ります。

 

物語として読むのもいいでしょう。

だけど、この一冊を、ことばとして、まなざしのひとつとして、大切にするのもいいですよ。

つまづいているひとにおすすめしたいです。

 

ラストレター「1リットルの涙」亜也の58通の手紙

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