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いろんな人がいて、いろんな本を読んでいる。コーヒーと夜の散歩と伊藤計劃がだいすきな25才が、 あんな本や、こんな本を、紹介します。

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わたしたちはみんな消えてしまうのかなあ 「世界から猫が消えたなら/川村元気」

 

「この世界から何かを消す。その代わりにあなたは一日だけ命を得る」

 

郵便配達員の僕はある日とつぜん、余命を宣告されます。すると同時に悪魔のアロハが現れて、取引を持ち掛けてきます。

 

電話が消える。僕らはもう話せない。

映画が消える。僕のエンドロールのそのあとも、僕はだれかの記憶の中で生き続けられる、ほんとうに?

時計が消える。猫が消える。僕が消える。

 

これは物語です。

教科書じゃない、解答でも指南書でもない、ひとりの人間の、ひとつの人生の物語。

 

「私、悲しい結末の映画を観ると、必ずもう一回観直すことにしているの。なぜだか分かる?」

その質問の答え。それだけはよく覚えていた。

ブエノスアイレスからの帰りの飛行機で、僕がずっと願っていたこと。彼女と別れた後も、しばらくのあいだずっと願っていたこと。

「分かるよ」

「じゃあ教えて」

「……ひょっとしたら今度はハッピーエンドになるかもしれないと思うから」

 

消えちゃうってことが、いつまでも、わたしたちには分からない。たぶん、ずっと分からない。

 

ひとは、ちょっとだけ便利にできていて、それは、後ろ歩きよりも、前を向いて歩くことがじょうずだということ。

おなじ小ささなら、悲しみよりも、喜びを、見つけてしまうということ。

死ぬことよりも、いま生きていることに、囚われるということ。

 

あなたはこの物語を、再読したと思いますか。それはいつですか。

 

文章、構成、整った一冊。

プレゼントにもよさそうです。

 

注意 単行本をおすすめします。カバーをめくってみてください。 

 

世界から猫が消えたなら

世界から猫が消えたなら

 

 

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ひとはどこかで生きている。現代国語の教科書にも採用されています。

村上龍料理小説集 講談社文庫

村上龍料理小説集 講談社文庫