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いろんな人がいて、いろんな本を読んでいる。コーヒーと夜の散歩と伊藤計劃がだいすきな25才が、 あんな本や、こんな本を、紹介します。

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青春の最高潮と最終点 「少女は卒業しない/朝井リョウ」

 

伸ばした小指のつめはきっと、春のさきっぽにもうすぐ届く。つめたいガラス窓の向こうでは風が強く吹いていて、葉が揺れるのを見ているだけでからだが寒くなる。もう三月も終わりなのに、朝と夜は手足がつめたい。こんなにも真っ暗でつめたい世界が数時間後にはぴかぴかな朝になるなんて、私は未(いま)だに信じられない。

 

卒業式当日を、七人の少女の視点から語られる、連作短編集です。

大好きな先生、退学した幼なじみ、部活、先輩。

ぐうぜん、同じ年に、同じ学校に通った、それだけの奇跡がこんなにもまぶしい。

たくみな、こころの文字起こしに、びっくりしてみませんか。

 

寺田のキャベツみたいな足の甲と、あたしのレタスみたいな足の甲。ふたつ並べるとあたしは自分を女の子だって思えた。そういうとき、あたしの心は火で炙(あぶ)った砂糖みたいになる。部活のとき、赤いバスパンに見え隠れしていた寺田のひざのうら。へこんでいて影ができて洞窟みたいだった。そういうことで、あたしはもういっぱいになる。

 

わたしたちはつぎのステージに飛び移る。あぶなっかしく、でもうきうきして。

 

エピソードは重複していないので、あきずに楽しめます。

ちょっとしたリンクもおもしろいですよ。

大人になったばかりのあなたへおすすめします。

 

少女は卒業しない (集英社文庫)
 

 

あわせて読みませんか

 

筆に描かれて。父と時代を見つめた、少女の日常をつづる随筆集です。

記憶の絵 (ちくま文庫)

記憶の絵 (ちくま文庫)

 
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