Fisher

いろんな人がいて、いろんな本を読んでいる。コーヒーと夜の散歩と伊藤計劃がだいすきな25才が、 あんな本や、こんな本を、紹介します。

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わたしはどうすればわたしになれますか 「少女七竈と七人の可愛そうな大人/桜庭一樹」

 

雪風

「七竈」

雪風

「七竈」

雪風

「七竈」

わたしたちはたがいの名前を呼びあった。いつのまにか背後に父はいず、薄暗い部屋には代わりに、雪風の弟妹があふれて、走ったり泣いたり笑ったりしはじめた。七歳から十一歳までの、たくさんの弟妹たち。ひとりの男から生まれたたくさんの命。どの顔もいちように、まだおさないが、不吉な美しさの足音がする。異形の面が大量に押し寄せてくる。あと数年。あと数年で彼らもまた、このかんばせに。

 

舞台は北海道旭川。遺憾にも美しく生まれてしまった少女七竈と、親友の雪風。ふたりの母と、男と犬。

雪と他人に囲まれた街で、それぞれの視点は語ります、孤独を。

 

時の流れは、なによりも大事なはずのものをすべて、容赦なく墓標にしてしまう。

 

大切なものは、たくさんあるわけじゃない。

 

だから大切だった。

だから、失われてしまった。

 

確立と、かみひとえの自己破壊は、いのちを文字にしていきます。

それでも、少女として生まれた、その事実からは、逃れられないのです。

 

くっ、と歯を食いしばりたくなる、一冊です。

純愛系、純文学です。

 

 

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遠い声遠い部屋 (新潮文庫)

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